■ユネスコ無形文化遺産である “石州和紙” の伝統技術と地球環境を、次世代に繋げていくためのコラボレーション

石州和紙の歴史は、約1300年前にさかのぼります。1798年に発刊された「紙漉重宝記」によると、「柿本人麻呂が石見の国の守護で民に紙漉きを教えた」と記されており、現在に至るまで島根県西部・石見地方で作られ、受け継がれています。

石州和紙は、他産地と比べて原料である楮の繊維が長く、非常に丈夫で長持ちするため、古文書や貴重な資料の保存に適しています。この特性を生かして、書画用紙や便箋だけでなく、襖紙や照明器具などのインテリアにも利用され、その用途の広さも魅力の一つです。

石州和紙の製法には、伝統的な手漉きの技術が続けられており、1969年に国の重要無形文化財指定を受け、2009年には
ユネスコ無形文化遺産に登録されました。現在も約1300年に及ぶ歴史を持つこの文化は、若手職人によって受け継がれています。

「紙布織 山内」では、この石州和紙を用いて染織作品を製作しています。この工房では、石州和紙をカッターで細く切ったものを霧吹きで湿らせたのち、ブロックの上でもみ、糸車で撚ることで紙の糸にするという、全国的にもめずらしい伝統技法を用いています。

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■石見地方で広く親しまれている ”石見神楽” をモチーフにしたコースターを制作

こうした中、使用後の紙資源や未利用の間伐材から紙糸を制作するプロジェクト「TSUMUGI」と、石州和紙を用いた染織作品の制作を行っている「紙布織 山内」のコラボレーションが実現、経糸に「TSUMUGI」、緯糸に「紙布織 山内」の紙糸を用いてコースターを制作しました。

デザインは島根・石見地方の伝統芸能である「石見神楽」をモチーフにしました。「石見神楽」は、豊作や豊漁を祈願するために平安時代の民衆が行った行事が始まりだと言われています。八調子と呼ばれる早いテンポのお囃子や、煙や紙テープなども駆使した派手な演出は、現代においても地域住民・観光客を問わず虜にしています。

■製品特長

紙糸の特長である軽量でありながらも、つるっとした手触りを楽しめるほか、藍染めによる美しい色合いや独特の質感から伝統的な日本の文化を感じることができます。

また、模様は絣織という特殊な手法で織られています。この手法では、柄にする部分の糸をビニールテープでくくった後、藍で染めあげます。その後、ビニールテープをほどいて織っていくことで、藍で染まらなかった部分が白い模様として浮かび上がります。

その結果、柄の輪郭がわずかにずれてにじんだように見え、あらかじめ織った布に染色を施す手法では再現できない、手仕事ならではの独特な風合いを生み出すことができます。

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■紙布織 山内について

東京や京都で和裁・染織を学び、島根県安来市の出雲織工房へ入門しました。その後染織家として独立し、「紙布織 山内」の屋号で木綿や紙布の制作を行っています。工芸品のみならず、紙布を題材としたアート作品の制作や、民藝としての紙布の歴史研究にも取り組んでいます。

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■本取組みの参加企業・団体

・紙布織 山内(島根県川本町)
・TSUMUGI(プロジェクト)